瞑想ヨガ

現代の社会において、心の問題は特に大きな意味を持つようになってきました。仕事や人間関係で大変なストレスを抱えている方も多いでしょう。

瞑想ヨガでは、この問題に心の理解と瞑想のトレーニングを通して、私たちのストレスの原因となる怒りや不安について改善していきます。その主なステップは以下の三つになります。

STEP1 心の理解

心とは何でしょうか? 現代の私たちにとって、心とはまさに自分自身です。何かを考えたり、誰かにイライラしたり、何かに悩んでいるとき、それは自分が考え、怒り、悩んでいると感じます。しかし、瞑想ヨガではちょっと違った視点から、この心を眺めていきます。

ヨガの古い教えでは、「心はあなた自身ではない」ということが度々説かれています。このような考え方に対して、現代の私たちはあまりピンと来ないかもしれません。しかし、心の問題を解決しようとするとき、この理解は大変重要なのです。

日常で生じる心の動きを少し観察してみましょう。例えば、テレビを見ているとビールを飲むCMが流れていたりします。このようなとき、「ビールが飲みたいな」と思うのは、自分自身の意図的な心の働きでしょうか? これはよく観察してみると、ビールを飲む映像を見たとき、反射的に「ビールを飲みたい」という欲望が起きてきているのです。

これは、人と比べるようなときも同じです。例えば車に乗っていると、反射的に他人の乗っている車と比較していて、劣等感などが起きている場合があります。また、何か仕事の人間関係などでトラブルを抱えているとき、その相手の顔が想起されると、怒りや不安が生じてきたりします。

このように、実際に心の働きをよく観察してみるなら、それは自分自身で意図的に動かしているのではなく、反射的な、そして、心の勝手な働きであることが分かるのです。もし、この心の動きを自分で自由に操作することができるなら、私たちに悩みは存在しないでしょう。嫌なことなど全く思い出さずに済むからです。しかし、心が全く言う事を聞いてくれないので、私たちは悩んだりイライラを抑えられないのです。

では、この点についてヨガの教えがどのように捉えていくか考えてみましょう。心が私ではないとするなら、私とは何でしょうか? この私は、アートマンと呼ばれる純粋意識です。意識とは、心や体や世界を見ている知覚主体であり、鑑賞者です。ですから、「私とは何か?」という問題に対してヨガでは、「私(意識)」「心」「体」の三つで捉えていきます。

ですから、「私が考えている」のではなく、「私は思考している心を見ている」というように、「私(意識)」の視点に立って、心や体を捉えていくことがとても大切な理解となります。

STEP2 瞑想のトレーニング

それでは次に、私たちが悩みを抱えたり、怒りをなかなか手放せないときどのような方法で対処していくか考えてみましょう。すでにご説明したように、「心は私ではない」ので、心の動きそのものを自分でコントロールすることはできません。ですから、悩みを止めようとか、怒りを手放そうとしても、自分の意思では止めることができないのです。

ではどのようにすれば思考は止まってくれるのでしょうか? この答えはとても簡単で、意識を心から離してしまえばよいのです。つまり、意識である私が悩んでいる心に集中しているので悩んでいる状態が生じているのであって、その悩んでいる心とは別の対象に意識を集中してしまえば、悩みは消えてしまうのです。

それでは、具体的な練習方法についてご紹介していきます。

以下の音源ではチーンという鐘の音が数秒ごとに鳴っています。この音をよく聞いて、この音の間隔に合わせて深呼吸を繰り返していきます。呼吸と音だけに意識が集中していれば、余計な考え事は浮かんで来なくなります。心に余計な雑念が生じなければ、心の平安を保つことができます。逆に、考え事が浮かんでくれば、意識は呼吸と音から離れてしまったことになります。まずは10分ぐらい、この意識の集中が保てるように練習してみましょう。

まずは7秒から試してみましょう。慣れてきたら、より長い秒数にチャレンジしていきます。

瞑想音源7秒間隔
瞑想用音源8秒間隔

瞑想用音源9秒間隔

STEP3 日常的な心の制御

瞑想のトレーニングでは、音と呼吸という対象がありました。では、日常の生活の中でこのような対象がないとき、どのように意識を離していけば良いのでしょうか?

これは実際、何でも構いません。何か仕事や人間関係などで雑念が生じてきたら、その場で聞こえている音、歩いているなどの体の感覚、動画や音楽でも、とにかく何でも構わないので、その怒りの対象となる心の働きから意識を離していきます。また、悩み事とは別の思考でも大丈夫です。週末の遊びの予定を考えたり、趣味の事、勉強の事などです。

このように、別の対象に意識を集中し、いったん悩み事から意識を離したら、そこへまた引き戻されないように注意しましょう。

悩み事に対してずっと考え続けることは、ある種のかゆみのようなものです。痒い場所をかきたくなりますが、実際はそのことで症状を悪化させてしまうのです。人間関係ではこのような考えすぎから多くのトラブルを作り出すことがあります。

例えば、Aさんに挨拶したのに返事がなかった場合、心は勝手に動き出し、「何でAさんは私の事を無視したんだろう」「Aさんは私の事がきらいなんじゃないかな」と考え始めます。これは心の勝手な働きですが、このように考える事で実際はAさんに対する嫌悪感が生じてしまうのです。ですから、Aさんに無視された事に対して心が勝手に考え事を始めそうになったら、意識をその思考から離して何も考えないようにしましょう。そして、まったく何もなかったかのようにまたAさんと接してみれば、考えるということがいかに余計な感情を起こしていたかということが分かるでしょう。

以上で瞑想ヨガの簡単な紹介となりますが、この心の制御についてさらに深く学んでみたい方は、せひ『ヨガの教えと瞑想』を読んでみてください。

また、オンラインクラスも開催していますので、ぜひ一緒に練習しましょう。

この瞑想トレーニングが皆さんの心の平安の手助けとなれば幸いです。

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